技術紹介 SOLUTION

SOLUTION – 10 業務表彰

令和3年度 北陸農政局農業農村整備事業等優良工事等
北陸農政局長表彰 受賞業務

国営施設応急対策事業 新津郷地区排水整備構想検討他業務

委託工期 令和2年8月28日~令和3年3月15日
管理技術者 樺澤 一夫
照査技術者 山本 茂
担当技術者 髙野 陽平
赤堀 悦朗
宇津木 悟史

1.業務概要

新潟県の中央部に位置し、新潟市及び南蒲原郡田上町にまたがる農地面積約2,900haの新津郷地区では、前歴事業である国営新津郷地区(昭和47年度~平成元年度)で整備した排水機場などの農業水利施設の老朽化が進行している。

本業務の目的である「排水施設の改修計画策定」に当たっては、現在の整備水準や排水機能を確認するために排水解析を実施するとともに、既存排水施設を補完する機能を有する「田んぼダム」によるピーク流出量抑制効果を検証した。

2.検証結果

新津郷地区の圃場整備調査・検討地区における水田面積1,100ha(流域面積に占める水田面積割合41%)で田んぼダムを実施することを想定し、確率雨量1/15〜1/50を与えて効果を検証した。

その結果、1/20確率雨量で発生する湛水面積を、1/15確率雨量(整備水準)のそれと同程度まで低減可能であることが明らかとなった(図1)。

図1 湛水面積と湛水面積減少割合

また、排水機場に接続する幹線排水路水位についても、田んぼダムを実施した場合、1/20確率雨量時のピーク水位が整備水準(1/15確率)と同程度の水位に保持されることが確認され(図2)、田んぼダムが計画基準雨量を超過する降雨に対しても有効に機能することが示された。

図2 田んぼダムによる幹線排水路のピーク水位の低減効果

3.本業務の掲載情報

掲載誌 「水土の知」2021年10月号(Vol.89 / No.10) pp.44 – 45
学会 公益社団法人 農業農村工学会
タイトル 新津郷地区における田んぼダムのピーク排水量抑制効果
    

SOLUTION – 10 学会等発表会への参加

2022年度(第71 回)農業農村工学会大会講演会 講演発表への参加
~環境変化条件下における農業用排水機場ポンプ能力の簡易評価手法の開発~

本社技術本部

髙野 陽平YOHEI TAKANO

2015年入社。新潟大学農学部生産環境科学科卒・新潟大学大学院自然科学研究科修士課程修了。入社後は、農業土木に関する業務に従事。現在は、流域治水に関連した「田んぼダム」の効果検証業務や農業地域における排水機場・排水路等の排水計画に必要となる排水解析業務に主として携わっている。

2022年8月30日~9月2日にかけて石川県で開催された2022年度(第71 回)農業農村工学会大会講演会に参加し、 研究発表を行いました。以下に概要を示します。

    

1.研究背景・目的

2.許容湛水量とポンプ能力変化率の関係

3.地形情報から許容湛水量の推定方法

4.まとめ

2019年度農業農村工学会大会講演会 講演発表への参加
〜環境変化条件下における農業用排水機場の必要ポンプ能力簡易評価手法〜

本社技術本部

髙野 陽平YOHEI TAKANO

2015年入社。新潟大学農学部生産環境科学科卒・新潟大学大学院自然科学研究科修士課程修了。入社後は、農業土木に関する業務に従事。現在は、流域治水に関連した「田んぼダム」の効果検証業務や農業地域における排水機場・排水路等の排水計画に必要となる排水解析業務に主として携わっている。

2019年9月4日~6日にかけて東京農工大学で開催された2019年度農業農村工学会大会講演会に参加し、研究発表を行いました。発表内容は平成30年度に新潟県農地部及び新潟大学と産官学連携して取り組んだ業務の一部となります。以下に概要を示します。

1.研究背景・目的

図1 新潟平野の排水機場位置

新潟県の中心に位置する新潟平野では低平な地形が広がることから、農業用排水機場が約120施設も設置され、現在その多くは老朽化が進行しています(図1)。排水機能を維持するため、排水機場の補修が計画的に行われていますが、排水機場流域では都市化の進展や降雨パターンの変化などの環境条件変化により、既設ポンプの排水能力不足が懸念されます。老朽化が進行している全ての排水機場で農地湛水被害を防ぐために必要なポンプ能力を詳細に検討するには多大な歳月と費用を要するため、特に排水能力不足が生じている排水機場を抽出するためのふるい分けが必要になります。

本研究では、土地利用変化および降雨変化のみで排水機場の必要ポンプ能力を推定する簡易評価手法を検討しました。

2.検討結果

図2 ポンプ能力不足率の推定結果

新潟県内の降雨及び土地利用に関する資料を収集・整理した結果、昭和から平成にかけて降雨量増加率は最大21%であり、市街化率は最大30%であることが確認されました。こうした変化が生じた場合、排水機場のポンプ能力をどの程度増強すべきか検証するため、排水解析モデルを事例地区に適用し排水機場のポンプ能力不足率を推定しました。この結果、ポンプ能力不足率は降雨量の増加率に対して約1.2倍、市街化率に対して約0.2倍で不足することが示唆されました。

図2に示す直線近似式に任意地区の降雨量増加率及び市街化率を入力することで、ポンプ能力不足率の概算値を推定することができます。

ここで構築した関係式に各地区の降雨量増加率及び市街化率を入力することで、排水機場ポンプ能力の増加率を推定することが可能となります。

3.まとめ

本研究では市街化率および降雨量増加率のみを使用してポンプ能力不足率を簡単に推定する手法を提案しました。令和元年度では、検証地区数を増やし精度向上および妥当性検証を行うことで評価手法を確立し、新潟発の技術提案を目指していきたいと思います。

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